ノロウイルスに感染すると、吐き気や下痢などの辛い症状に多くの人が苦しみます。ノロウイルスに感染した場合にどのような治療法があるのでしょうか。
そして治療を助けるような民間療法のようなものはあるのでしょうか。ヨーグルトなどの乳酸菌がノロウイルスの治療や予防に役立つという噂もあります。
そして感染経路にはつば(唾液)の影響があるのでしょうか。今日はノロウイルスの治療にヨーグルトの効果があるのかどうか、そして感染経路につばの影響があるのかどうかを調査しましたので御覧ください。
それでは早速いってみましょう!
ノロウイルスの治療にヨーグルトは効果があるの?
ノロウイルスに感染すると激しい嘔吐や下痢の症状を発症します。まずノロウイルスの治療法はどうなっているのか、まずは厚生労働省の見解を見てみましょう。
(参照:ノロウイルスに関するQ&A)
ノロウイルスによる直中毒が発症した場合の治療法は?
治療法としては、ノロウイルスに効果が期待できる抗ウイルス薬は現在はないとのことです。ノロウイルスによる感染症の場合、基本は対処療法を行います。
特に体力の弱い、子供やお年寄りに関しては下痢や嘔吐による脱水症状に気をつけて、場合によっては医療機関で点滴などの補液をすることが必要です。
つまり現状ではノロウイルスに関しては有効な治療法は確立されていないということになります。そうなってくると、嘔吐や下痢でできるだけ早期に体内で増えてしまったウイルスを排出することが肝要となります。
結果として吐き出すか下痢をして体外へウイルスを出すしか方法はありません。
ヨーグルトなどの乳酸菌はノロウイルスに効果があるのか?
ノロウイルスというと下痢が殆どの場合伴います。そうなってくると腸内環境に良いことをするといいのではないかという思いもおこるわけです。
ヨーグルトなどの乳酸菌、ビフィズス菌などの整腸剤などは、ノロウイルスに対して症状緩和などの効果が期待できるのでしょうか。日本では乳酸菌を取り扱った製品にヤクルトがあります。
ヤクルトの研究機関である「ヤクルト中央研究所」では乳酸菌の一種であるL.カゼイ・シロタ株を含む飲料をお年寄りに飲んでもらう実験をしました。これは食中毒に関しての実験ではありませんので、誤解のないようお願い致します。
その実験によると、L.カゼイ・シロタ株を飲んだ人と、飲んでない人の実験により、免疫力を司る白血球の一つ「NK細胞」が活性化したというデータがありました。
実験の詳細はL.カゼイ・シロタ株を400億個含む飲料を使ったとありますので、たぶんヤクルト400を飲んでの実験と思われます。これを7週間飲んだ実験での成果だそうです。
NK細胞とは体内に侵入してきたウイルスや最近などを攻撃する免疫細胞です。免疫力は腸内環境の良し悪しに影響することがわかってきています。これが優位に活性化したというとなると、おそらく腸内環境が適切に改善されて結果として免疫力が元気になったと思われます。
少なくともここでいえることは、乳酸菌がノロウイルスに直接効果があるのではなく、結果として免疫力を落とさない効果や場合によっては落ちた免疫力が回復することで、直中毒の回復を早める可能性には期待できるということです。
腸内環境が悪化している人とそうでない人とでは、病気に罹るリスクが違ってくることが最近の研究でわかってきているそうです。
そういう意味ではヨーグルトのすべてが良いのかどうかは人それぞれの体質に影響するようですが、乳酸菌が食中毒からの回復には一役買ってくれそうな期待は多いに持てるのではないでしょうか。
そういう意味では普段から乳酸菌を積極的にとっておくことが食中毒の予防、あるいは回復を早めてくれることに「結果」として繋がると考えてもよいかもしれません。
ただ乳酸菌には種類が千差万別あります。どのヨーグルトや乳酸菌飲料が体質には会うのかは人それぞれですので、ヨーグルトを試してみてお通じが最適になるようなものを選ぶと良いでしょう。
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乳酸菌が含まれる多く食品
乳酸菌は発酵食品に多く含まれています。
- ヨーグルト
- 漬物
ヨーグルトや漬物は乳酸菌が豊富にふくまれています。ヨーグルトだけでも多くの種類があり、それに伴いヨーグルトに含まれている乳酸菌も多種多様です。
人によって合う合わないが乳酸菌にはあるので、様々な製品を試してみて自分の体調に合うものを探すことが肝要です。
ノロウイルスの感染経路につばの影響はどこまであるのか?
ノロウイルスはどのような感染経路で感染するのでしょうか。唾液、つまりつばの影響などが感染にどの程度影響しているのでしょうか。この疑問を解決するにはやはりノロウイルスの感染経路を詳しく知ることが必要です。
<ノロウイルスの感染経路 厚生労働省:ノロウイルスに関するQ&A参照>
- 1)ノロウイルス感染者のふん便や嘔吐物が、人に手に触れて感染する。
- 2)家族間などの共同で関わるお風呂場や水道の蛇口、ドアノブなどに触れたりして感染する。
- 3)飲食店などのスタッフが感染しており、そこから食材、物にウイルスが付着して感染する。
- 4)ノロウイルスに汚染されている貝類などを生食や加熱不十分で食べたために感染する。
- 5)ノロウイルスに汚染されてしまった水などを飲んでしまった場合に感染する。
これらの項目を見てみると、主に感染経路としてはノロウイルス感染者のふん便や嘔吐物、そして感染者が触れてしまったもの、そして汚染されている物を食べてしまった場合に感染するようです。
「つば」に関してはどうかとういうと、感染のリスクはあります。それは嘔吐物で感染するということは唾液でも感染する可能性があるからです。つばが付いた物を触れてしまい、その手で顔や目、鼻や口を触ってしまうと感染する可能性が出てきます。
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ノロウイルスは物に付着したら生存期間はどれくらい?
ノロウイルスの環境中での生存期間は結構長いです。とある実験では乾燥状態での環境で4℃で約2ヶ月間生き続け、20℃の環境では1ヶ月間生き続けたというデータもあります。
<ノロウイルスの生存期間データ(ネコカリシウイルスでの実験)>
つまり消毒などを適切にしないでいると、ノロウイルスはそれなりに長い期間生き続けることが証明されています。ですので汚物の処理や消毒などは気を使ってする必要があります。
嘔吐物の処理が不適切で実際に起きた集団感染
2006年の東京のホテルで起きたノロウイルスの集団感染では、ホテルの廊下に嘔吐した嘔吐物の処理が不適切だったことが原因で436名の方がノロウイルスに感染したという事例があります。
感染者がカーペットに嘔吐し、その嘔吐物の処理が不適切だったため、塵で舞い上がったウイルスをお客さんや従業員などが吸い込みノロウイルスに感染。そしてそこから二次的にまた別の人へとどんどん感染したことがありました。
感染者の嘔吐物やふん便などが非常に大きな感染経路となりますので、ただ片付けるだけでなく徹底した消毒が必要となります。街で嘔吐物を見つけた場合は、近づくとノロウイルスの感染のリスクがありますので注意が必要です。
ノロウイルスの消毒方法
ノロウイルスはアルコール消毒では効果が期待薄です。厚生労働省でもアルコールだけでなく、次亜塩素酸ナトリウム系の消毒を推奨しています。わかりやすくいうとキッチンハイターの類です。
現在ではドラッグストアでもノロウイルス用に消毒できる製品が販売されていますので、そちらでチェックしてみてください。
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まとめ
- ヨーグルトはノロウイルスい対して直接治療できるような効果はない。
- ヨーグルト(乳酸菌)は腸内環境を改善し免疫力を元気にするので回復や症状の軽減には期待できる。
- ノロウイルスの感染経路にはつばや嘔吐物の影響がある。
- ノロウイルスは外部の環境でも1ヶ月くらい生き続けることもあるので消毒・手洗いが重要。
- ノロウイルスの消毒はアルコールではなく、次亜塩素酸ナトリウムが有効。
ノロウイルスは汚染物に接触する感染が主な原因です。ヨーグルトなどの乳酸菌は免疫力アップで回復力アップの効果は期待できそうです。ただ感染を完全に防いだり治療をしてくれるものではありません。
体調や健康維持を目的として普段から積極的に取り入れておくと、いざノロウイルスに感染してもダメージを少なくできるかもしれません。感染経路につば(唾液)の影響があるかどうかというのは、明らかにつばの影響はあるということです。
嘔吐物やつばが付いた物にはしばらくノロウイルスは生き続けるというデータがあるので、手洗いや消毒が非常に重要な予防対策といえます。
参考サイト:厚生労働省